「概念の分析」(第一部~第五部)三輪真之 (著) 発刊
「日本の人間哲学」を確立するためには、基礎概念を常用の日本語で了解することが必要である。
【本書の概要】
戦前・戦後を通じ夥しい数の哲学書が出版されているが、それらの大半は古代ギリシャの哲学(例えば、ソクラテス、プラトン、アリストテレス)や近代以降の西洋哲学(例えば、デカルト、パスカル、カント、ヘーゲル、フッサール)を理解するために書かれたものであると言っても決して過言ではない。
また、中国が生んだ最高の人間哲学と言うべき儒教は、6世紀に渡来したと言われ、12世紀以降は、儒学(例えば、朱子学、陽明学)として、我が国の精神風土に大きな影響を与えてきた。
しかしながら、その一方で、「日本の人間哲学」あるいは「日本人らしい視点や発想に基づく人間哲学」は極めて少なく、それに類するものは、「優れた思想」あるいは「魅力に満ちた言説」として国内に散在しているに過ぎないのではあるまいか。
このような状況にある原因であるが、恐らく「思想家が自己の思索内容を体系的に叙述することを好まない」という日本人の体質にもよるのであろうが、それよりも何よりも、「思索に用いられる概念の意味が、常用の日本語で深く吟味されていないため、畢竟、欧米語や漢語に頼らざるを得ない」ことにあると思われるのである。
私は、若い頃、「哲学(特に、人間哲学)と取り組む者は、まず、母国語(更には、母国の歴史)をしっかり理解しなければならない」という見解に心から共鳴し、それ以来、「深い思索に関係すると思われる常用の日本語」を、それらの「概念」という観点で、収集・分類する作業を積み重ねてきた。
そして、その過程で、「少なくとも、認識論と知識論を同一視するような粗雑な神経の持ち主に人間哲学を語らせるべきではない」と痛感し、「日本語の感覚を研ぎ澄ました上で、日本の人間哲学を提示しよう」と決意した。
本著『概念の分析・資料』は、既に初版(1995)・改訂版(2004)を刊行し、それぞれ過分な評価を得てきたが、今般、相当な量の増補をしたのを機に、「三訂版」を分冊して電子出版することになった。
「ひとまずダウンロードし、気になるところを、その時々に見てみる」といった利用の仕方をして頂ければ幸である。
◎体裁:A5判・全51ページ(概説・総目次)
◎著者プロフィール:
昭和21年(1946)岐阜県生まれ、愛知県立旭丘高校卒、早稲田大学 理工学部 建築学科卒
早稲田大学 大学院理工学研究科 博士課程 都市計画専攻修了、
計画哲学研究所・所長、博士(工学)・一級建築士
(元・早稲田大学客員教授、元・東京デザイン専門学校講師)
[主要著書]
『概念の分析・資料』(1995)、『日本の市民憲章』(2002)、
『概念の分析・資料(改訂版)』(2004) 、『認識論的人間論序説』(2008)、
『認識論的人間論・第1部―新しい人間哲学のために』(2013)、
『市民憲章とまちづくり』(2013)、
『認識論的人間論・第2部―根源範疇に基づく人間哲学的考察・その1』(2013)
[所属学会]
日本建築学会、日本都市計画学会、コミュニティ政策学会、自治体学会、比較思想学会
[趣味]現代詩(ペンネーム・司真、芸象文学会会員)
◎総目次(第一部~第五部)
第一部・人間
第二部・認識
第三部・存在
第四部・関係
第五部・行為